おじじワンの寝床支度

 私の家には御年17歳になる、おじいちゃん犬がいます。人間の年齢に例えると、もう90歳以上になるのではないでしょうか。見るからに色々と不便があるようなのですが、毎日一生懸命生きています。

 今日は天気も良く、また寝巻きに少しおしっこが掛かっていたので、洗濯をすることにしました。

 

 まずはバケツに水を張り洗剤を入れ、洗濯するものを漬け込む。しばらく放置して、揉み洗いして、水を変えて流す。そして、ある程度清潔になったものを洗濯機で回して、暖房が効いた部屋で乾かす。洗ったものリストは以下の通り・・・

  洋服(インナー1着、フリース2着)

  敷マット

  敷マットカバー

  湯たんぽカバー

  毛布(洗い替え用も合わせて2枚)

 ここまでを見ると「王子様のように育ててきた箱入りおじいちゃん犬なのかしら?」と思うかもしれません。ですが実のところは全くの逆で、うちのおじじワンはなかなかのワイルド系なのです。

 

 おじじワンが「今日から外で寝ます」と家から出て行ったのは、今から2年前でした。それも一番寒い2月に。それまでは、ストーブの横で丸くなって、フカフカのお布団に埋もれて寝ていたのにも関わらずです。気が済んだら戻ってくるだろう、という私の期待をバッサリと切り捨て、今日までのほとんどの日を外で寝ています。無理やり入れると一晩中吠えながら歩き回り、最後には歩き疲れて倒れ込む始末です。かといって寒さに強いわけではなく、底冷えした小屋の中で痩せて関節が硬くなった体を小さく丸めて震えるのです。

 寒い冬、そして暑い夏をどう乗り越えるか戦っています。おじじワンは急激に老いていくので、前回を超えての対策が必要となるからです。

 

 今年の夏は熱中症になりかけて、氷嚢を新規投入することになりました。

 今年の冬は、小屋を断熱仕様にしました(おじじワンの話を面白おかしくしていたら、余っている断熱材をくださった方いました)。おじじワン自体は簀巻きのごとくです。

 シーズン毎に変貌していくおじじワンの家は、さしずめ妖怪ハウスのようです。

 

 夜、寝る直前におじじワンの様子を見にいきます。私はおじじワンが寒くて事切れていないか、いつも少しだけ不安です。

 おじじワンはたいてい、湯たんぽ(柔らかい)があるので熱を感じられるように体の接地面積を伸ばして寝ています。おじじワンは毛布を自分でかけられないので、寝入っている体に起こさないように毛布をかけます。母犬の側を思い出すのか毛布がかかると、深く頭をすり寄せてきます。

 ぐぅぐぅ・・・という安らかな寝息を聞き閉じたまぶたを見ていると、なんで家で寝てくれないか全然分からないし色々と面倒だけど彼も幸せなのかも、と一瞬和やかな気持ちになります。そして、自分がとても寒いので一目散に暖かい部屋へ戻っていきます。

 

 今日は、そんなおじじワンの寝床を支える大仕事の日でした。そして洗濯機を回している間、私はおじじワンの毛を梳いて怒られ、部屋で猫と昼寝をしました。とても幸福な日だったと思います。