青春18おじじワン

4月1日はおじじワンの誕生日だった。

厳しい夏の暑さと寂しい冬の寒さを乗り越えて、無事に迎えることができた。おじじワンが生まれて18年。それだけの時間が経ったのだ。

 

おじじワンの18年間、そして17歳の1年間にも沢山の出来事があった。同じように私の18年間と、私の1年間にも色々なことあったのだけど、それは今は関係がない。おじじワンはすっかり腰が曲がって自信がなくなって寂しがり屋になって、小さくなった。

 

お誕生日はもちろんご馳走だった。

 

腰は丸くても食欲はある。実は数年前まで食欲がガタリと落ちる時期があって酷く苦労させられていたのだが、この1、2年はそんな悩みもない。それにはちゃんと理由があって、一緒に食べる「なかま」が出来たことが大きいらしい。おじじワンには息子なのか孫なのか友達なのか子分なのか、どういう感情で接しているのかわからないのだが、呑気な同居猫がいる。決してベタベタ甘えさせないが、存在を受け入れていることがわかる。飛びかかられてもハードル跳びをされても首に縋りつかれても怒らない、そんな猫がいる。

 

2匹でお皿を並べてご飯を食べる。呑気猫はマグロスープを、おじじワンはマグロスープと焼肉を一切れを。おじじワンは後ろ足をしっかり突っ張ることが難しい時があるのでお腹を支えて持ち上げ皿を口元に当てがいながら、2匹でガツガツと元気よく食べた。

 

夜になると、おじじワンは寂しくなって私たちを呼ぶ。何度も何度も呼ばれると段々うんざりしてくるのだけど、呑気猫は一番最初に玄関に行って、おじじワンに会えることを楽しみにドアが開くのを待つ。それを見ると、ふっと肩の力が抜ける。

おじじワンは、誰かが側にくると安心する。ななお君のことはちらりと見る。ひとしきり不安と安心を繰り返して、幾度目かの安心にて眠りにつく。

 

おじじワンには3枚の焼肉がプレゼントされていた。1枚目は4月1日の夜ご飯、2枚目3枚目は4月2日の朝ご飯・夜ご飯…のはずであったが、気づいたらお皿の上の焼肉が1枚になっていた。

テレビの前のビデオデッキの上に、ヘソ天でお尻を突き出して寝ている幸せそうな寝顔がある。4月2日の朝ご飯では、2匹それぞれに焼肉が半分ずつとマグロスープが付いた。