一緒にいようよ

おじじワンの夜鳴きは春になれば収まると思っていたのだか、近頃も続いている。最近では頻度が増え、一度寝床に落ち着いても何度も振り出しに戻ってしまう。

 

実は、彼は未だに湯たんぽを愛用している。

もう暖かくなってきたから不要かと思っていた日々にもなかなか夜鳴きが治らず、試しに入れてみたのだ。温もりは、寂しさを慰め眠りを誘引する。顎をこっぽり乗せるとウトウトと目が萎んでいく。

 

私は、おじじワンは寂しいのだと思っていた。また、目が覚めた時に混乱し助けが必要なのだと。そのどちらも正解ではあるのだろうけれど、今日は違うことを感じた。

 

おじじワンの側の階段の一段目に、井草座布団を履いて腰をかける。お尻がひんやりと地面の冷たさを伝えてくるが、気持ちいいくらいだ。ぺたんと地面に座り込むおじじワンの目は、くりくりとまんまるい。ほっぺと顎をワシワシすると何となく嬉しそうに見える。

いつもなら立ち上がって彷徨いたり寝に行ったりするのに、なかなか動き出さない。立つのに決心がいるのかもしれない。

 

気持ちのいい空気の中、おじじワンはぺたりとしたままだ。カエルの声や蚊の羽音、家々の街灯の灯、風にそよぐ草葉。そういったものを些細に感じた後、おじじワンを手の甲で撫でると「一緒にいようよ」と言われている気がした。

 

一緒にいる時間を作ってくれてるのだと思うと無性に愛しくなって、ずっと一緒にいたいなと思った。